猫族×吸血鬼×百合＝神 『猫ノ山寧々子はネコになる』を紹介します。

猫族の寧々子と吸血鬼のましろ。
お互いに自らの正体を隠して接していた2人だったが、ひょんなことから2人ともその秘密がバレてしまう。
ただそれで2人の仲が引き裂かれるかと思いきや――、2人はなんと同棲することに!?
寧々子は発情期の際の相手役としてましろを必要とし、その代わり自分がましろに毎日血を提供することを約束する。
徐々に縮まっていく2人の距離。
だが全てが順風満帆とはいかなくて――。
恋に不器用な2人の少女によるもどかしくも甘酸っぱい、最高にピュアなラブストーリーがここから始まる！

こちらの作品は半熟たまごさんという方に頂いたのをきっかけに読みました！
百合小説を読むのは初めてだったのですが、すごくすごく良かったです……！
本当にありがとうございました！

 

まずはストーリーの感想から。
異種族間恋愛百合小説ということで読む前からかなり期待していたのですが、その期待を軽々超えてくる素晴らしい完成度でしたね……！
2人の女の子がただ甘々な時を過ごすだけじゃなく、「そうじゃないんだよぉ」と思わず言いたくなるようなすれ違いもあって、全体的にとっても甘酸っぱい物語になっていました。
人間では決して出せない、異種族であることを最大限利用した設定も最高でしたね。
例えば猫族であれば「発情期」や「感情が高ぶると性感帯である猫耳と尻尾が出てきてしまう」という設定はいわゆる「受け」の寧々子の魅力をグッと引き出していましたし、吸血鬼の「吸血」は相手に跡がガッツリ残るのでましろはそれで独占欲を満たしたりと、とにかく官能的な設定・表現が多かったのがすごく良かったです笑
また、内気で消極的な寧々子と大人びていてクールなましろの立場が逆転するシーンはミト先生のカラーイラストも相まって個人的に一推しのシーンなので、是非未読の方は読んで確かめてみてほしいですね。
すれ違いや辛い過去もありましたが、それらを乗り越えて2人が獲得した結末はとても幸せなもので、読んでいるこちらも幸せな気持ちになりました！

次にキャラの感想。
寧々子は気弱だけどましろさんを渡したくない！という強い気持ちも持っていて。
ましろは大人びているけれど時折年相応の弱いところも見せたりして。
2人とも思わず応援したくなるような人柄だったのが良かったですね。
推しが決められないぃぃ……。
メインキャラの2人はもちろん、彼女たちの幸せに一役買った犬族のルルちゃん、魔法使いのアリスちゃんもすごく魅力的なキャラでしたね。
1巻で綺麗にまとまっていますし、カクヨムでも【完結】の表記があるので2巻は出なさそうですが、願わくば新シリーズとして彼女たちのお話も読んでみたいです。

最後に読みやすさ。
デビュー作とのことでしたがすっごく読みやすい文章でしたね。
ジャンルもラブストーリーですし、視点は終始寧々子で固定されているというところもあって、とても読みやすかったです。
普段からあまり本を読まない方でもサクサク読めるタイプの作品だと感じたので、少しでも気になった方には是非とも読んでみてほしい1冊です！