リュウ
皆さんこんにちは、リュウです。
今回は自分が今まで読んできた短編集の中から特に好きな短編を6つ集めて「最強短編集」を作ってみました。かなり古い作品から最近発売された作品まで手広く選出しております。この記事を通して読書家の皆様の積み本を少しでも増やすことができれば幸いです。それではどうぞ!
※書影をタップすればBookwalkerさんのページに飛びます。(懲戒の部屋以外)
本記事は『天使は炭酸しか飲まない』の著者・丸深まろやか先生がnoteにて書かれた「最強の短編集を作りたい」に影響を受け、作成したものとなります。「読書家さんにはみんなやってほしい」とのことですので、是非皆さんもXやnoteやブログにて作成してみてはいかがでしょうか。正直僕は作成して見て超楽しかったです!
丸深まろやか先生の該当ポスト&noteはこちら↓
1.「午後の恐竜」(星新一『午後の恐竜』より)
流石にショートショートの神を入れないわけにはいかない。小学生時代、母親と父親と星新一によって育てられた俺が今回選ぶのは「午後の恐竜」。突如として全世界の人々の前に現れた恐竜の群れ。彼らの存在は一体何を意味しているのか。人々は彼らを前に何を思うのか。あの衝撃の結末は今でも忘れられず、それを思い出すたびに「午後の恐竜」というタイトルの秀逸さに戦慄する。「傑作」という言葉がここまで似合う短編ははたして他にあるのだろうか。子供にも大人にもおすすめしたい、人生で一度は読んでみて欲しい一本。
2.「Calling You」(乙一『きみにしか聞こえない-Calling You-』より)
同じく小学生の時に好きだったお話であり、大人になってから『失はれる物語』にて思いがけない再会をした印象深い一本。ケータイを持っておらず、毎日脳内で理想のケータイを思い浮かべることが趣味の孤独な少女リョウ。物語はそんな彼女の脳内ケータイに突如として謎の人物からの電話がかかってくるところから始まる。ロマンチックな導入と甘酸っぱく切ないストーリーが持ち味の名作。長編は『夏と花火とわたしの死体』や『GOTH』などの〈黒乙一〉が好きなのだが、短編を考えるとやはり〈白乙一〉が強すぎる。誰にでも読んで欲しい気持ちはあるが、その中でも特に中高生の方には是非読んで欲しい。
3.「走る取的」(筒井康隆『懲戒の部屋』より)
ストーリーはシンプル。飲み屋にて軽い気持ちで別の席にいた力士を馬鹿にしてしまった主人公が、彼にただひたすら、ただひたすらに追いかけられる話。様々なホラー短編を読んできたが、これを超える怖さの短編には出会ったことがないし今後も出会えないと思う。怖い話には霊も超常現象もいらないということがよくわかる一本。力士に追いかけられるだけの話といえばそれまでだが、それがとにかく怖い。力士が終始何も言わないのも怖い。自分よりも圧倒的に巨大な存在が自分よりも速いスピードで追ってくる情景を想像してみてほしい。何度も言うがこれよりグロい短編、これより気持ち悪い短編はいっぱいあるが、これより“怖い”短編はない。ホラー好きには是非読んでほしい。
4.「滑車の地」(上田早夕里『夢みる葦笛』より)
泥棲生物と呼ばれる人を喰らう存在がウヨウヨと生息している〈冥海〉。その僅か25メートル上にある人類の居住区〈滑車の地〉を舞台に描かれるSF作品。互いの存続をかけた人類と泥棲生物の生存競争。新天地を見つけるため、人類を代表して飛び立つパイロットはただ一人。人間ではないが天才的な操縦の腕を持つ少女リーアか、操縦の腕は彼女に劣るものの、〈滑車の地〉で生まれ育った人間の少年一翔か。〈泥〉によって滅びかけている世界が舞台であるからこそ、少年と少女の友情、彼らを最後まで必死に守ろうとする大人たちの姿が一層映えて美しかった。思わず「あぁ…」と惚けてしまうあのラストを是非多くの方に味わって欲しい。
5.「恋澤姉妹」(青崎有吾『11文字の檻』より)
「不可視の怪異」「生ける都市伝説」「観測を試みた者を片っ端から殺していく最強の姉妹」そんな伝説の存在である“恋澤姉妹”と彼女たちに師匠を殺された女殺し屋の物語。今年の話題を全て掻っ攫っていった青崎有吾が百合小説アンソロジーに寄稿した一本。本作の一番のポイントは何と言っても敵である“恋澤姉妹”のキャラクター性にあるだろう。読めば読むほど彼女たちの狂気さと歪さが際立っていき、それに比例して俺は彼女たちにどんどん惹かれていってしまった。そして読んだ人ならわかると思うが、ラスト1行に繰り出される“あのセリフ”があまりにも最高すぎる。あそこまでビシッと決まる短編はなかなかない。ダークな百合が好きな方はきっと気に入ってくれると思う。是非おすすめしたい。
6.「福祉兵器309」(人間六度『推しはまだ生きているか』より)
舞台は老いた人間がもれなく《老骸》という異形の怪物に成り果てる世界。《老骸》を殲滅するプロであり「福祉兵器309号」とも呼ばれる72歳の老人が、自らの死を願う13歳の少女と出会うところから始まるSF作品。ここ最近発売された短編集の中でも個人的に一番好きだった作品から選出。老人と少女の旅の結末。老骸化現象の真実。寂しく悲しい世界の中で、それでも最後に光り輝く希望がとても眩しく印象的だった。最終盤、福祉兵器309号の今までの全てを背負った“名乗り”が最高にカッコよくイカしているので、SF好きの方は是非読んでみてほしい。
リュウ
以上の6本が個人的に大好きな短編です!少しでも読書家の皆様に「読んでみたい」と思わせることができていれば嬉しいです。この世には自分がまだまだ読めていない作品がいっぱいあるので、おすすめの短編があれば是非教えていただきたいです!最後までご覧くださりありがとうございました!