デレデレ甘々ラブコメ 『冷たい孤高の転校生は放課後、合鍵回して甘デレる。』を紹介させていただきます。

ある日、香良洲空也の隣の席に、1人の転校生がやって来た。
その転校生は銀髪の美少女で、名をファティマ・クレイというらしい。
2人は互いに人間嫌い。
故に本来は関わることなど有り得なかったが、家族となればそうもいかない。
一緒に買い物へ出かけたり、ご飯を作ったり。
そしてなし崩し的に始まった半同棲生活により、2人の距離はどんどん縮まっていく。
――だが、これ以上は踏み出せない。
2人は互いに『人間嫌い』なのだから。
けれど、「好きだ」という気持ちはもう抑えきれなくて――。
GA文庫が贈るデレ甘ラブコメ、ここに開幕。

タイトルと表紙に惹かれたので買いました。
※以下酷評するので作者様はもちろん、この作品が好きな方もブラウザバックすることを強く推奨します。

まずはストーリーの感想から。
少しずれているけど優しい主人公と、普段は無愛想な転校生ヒロインが織りなすラブコメ作品ですね。
構成は、① 主人公とヒロインが付き合い始める→② 何故お互いがお互いを好きになったのかの回想→③ ①の続き といった感じとなっています。
この構成自体はいいんですけど、②がもうとにかく短すぎますね。
たった27Pしかないんですよ。
「人間嫌いな2人がどうして互いのことを好きになったのか。」
これが知りたくて読み始めたと言っても過言ではないのに、まさか27Pで終わるとは思いませんでした。
しかもこの27Pの中で1回回想やめてるんですよ。
なので実際は23P分しかありませんし、その中で主人公とヒロインの視点を入れ替えてるので、もう互いが互いを何故好きになったのかなんて全然分かりませんでした。
主人公がヒロインを助けるシーンはあるので、まあヒロインが主人公を好きになった理由はこれだとなんとか分かるんですけど、（だとしても薄い気が……）主人公がヒロインに惚れた理由がマジで分かりませんでした。
「人間嫌い」という設定を付けたのであれば、1冊丸々②の内容でも良かったと思います。
で、③は逆に「そのシーン要る？」と思った描写がいくつかありました。
特にポーカーのくだりですね。
既に読んだ方ならわかると思うのですが、あれに8Pも使うくらいなら②をその分増やしてほしかったです。
全体を通してたった243Pしかないので、もっと重要シーンにページを割き、あまり重要でないシーンはカットした方がいいんじゃないかなと思いました。
ただ、ラストの展開は間違いなく良かったです。

次にキャラの感想。
最初から最後まで主人公が好きになれませんでした。
もうとにかく口調が鼻につきましたね。
終始「どうしたものかな」「ところで○○よ」「ふむ……○○なのだが」といった口調で話されるので、すげぇイライラしました。
この喋り方をしていいのは王だけであって、普通の高校生がしていいものじゃないんですよ……
それに加えて常に一言多いわ、余計な雑学を披露してくるわで、読んでいて辛くなるレベルでした。
まあ作者様もあとがきで「いつも通り適当に創ったらこうなった」とか「書き進めるに従って何故かだんだん古く、どんどん堅苦しい喋りになっていった」とか書いてるので多分作者様も予想してなかったんでしょうね……
というか適当にキャラを創らないでください……
ただ、ヒロインはとても可愛かったですね。
特に照れてる時はすごく良かったです。
あと主人公のおばあちゃんも良いキャラしてました。

最後に読みやすさ。
正直読みづらいです。
原因は8割主人公にあります。
もうマジでこいつ余計な雑学を披露しまくって、わかりづらい言葉ばっか使ってくるんですよ……
しかも解説なんて優しいものはないですし……
僕はわからない言葉が出てきたら即調べるタイプの読者なので、死ぬほど大変でした。
本編と同じくらいコトバンクとWikipediaを読んでいた気がします。
「じゃあ調べなきゃいいじゃないか」と思うかもしれませんが、そうしたらそうしたで作品の世界観に置いて行かれるんですよね……
結果的に、作者様が自分の書きたいものをとにかく書いただけの作品になっており、読者への配慮が足りないように感じました。
あと読みづらい原因の残りの2割は視点変更の多さですね。
詳しく数えてはいませんが、最低でも10回はあったと思います。
視点変更を入れるなとは思わないのですが、それにしても多かったように感じました。
多くても5,6回に抑えてほしかったです。